勅使門(宇佐神宮)

年号またぎ、西日本周遊の旅(4)

年号またぎ、西日本周遊の旅。前日は雨の中の九州入り。4日目は中津より、再び本州へ。山陽か山陰かで迷った末、馴染みの薄い、山陰ルート、宿の取れた、10年ぶりくらい、平成最後の日、出雲を目指します。


4日目(4月30日 火曜日)

雨は上がっていると思いきや、小雨降る朝。仕舞ったレインコートを再び取り出し、着込んでの出発。国道213号線、10号線と通り、大分市方面、中津市のお隣、宇佐市へ。南の山沿いはもやがかかり、雨の気配。屋根の付いた案内標識をくぐり抜け、宇佐神宮へ。


宇佐神宮

駐車場に付く頃には雨も止み、空は明るくなってきました。宇佐神宮周辺に駐車場は4ヶ所あり、二輪車を駐めることのできる2ヶ所のうち、八幡駐車場にバイクを駐め(二輪車100円)、不要になったレインコートをサイドバッグに仕舞い、参道を歩き大鳥居を目指します。

仲見世近くの鳥居の先、川を渡る手前、右手にかわいらしい蒸気機関車(ドイツ、クラウス製26号)が停められており、かつて鉄道路線(大分交通宇佐参宮線)があり、九州鉄道(後、国鉄)より同路線にやって来て、以後活躍していたとの説明がありました。

宇佐神宮は全国にある八幡社の総本宮。16ある勅祭社の一つで、八幡大神(応神天皇のご神霊)が一之御殿に、比売大神が二之御殿に、神功皇后が三之御殿に祀られています。

大鳥居をくぐり、参道を山に向かって進んでいくと、周りに木々が増えていきます。その境内の木々は降っていた雨により、より深い緑色となり、落ち着きのある色調に。その背景に鳥居の朱がとても映えます。そんな八幡鳥居をくぐり、階段を上り、西大門を通ると上宮です。

正面、南中楼門(勅使門)の奥に国宝の本殿があり、左手より一之御殿と御殿が並んで建てられています。そのため、門の手前から参拝する形。参拝中、何か周りと違うような感じがして、確認したところ、看板があり、宇佐神宮では二拝四拍手一拝(一般的には二拝二拍手一拝)が作法だと、恥ずかしながら気付かされました。

上宮参拝後、授与品として並んでいた神鳩を衝動買い。鳩は八幡神の神使とされ、以前滋賀の日牟禮八幡宮に行ったときにも金色の鳩が拝殿脇にいたような。神鳩はオカリナのような膨らんだ形で、尾っぽの方から息を吹き入れると「ポー」とまるで鳩が鳴いているような音がしました。

このままでは片参りになってしまうので、別のルートで下宮も参拝。上宮とはまた違う雰囲気、木々に囲まれ、落ち着いた感じでした。帰り道、社務所にて御朱印を戴き、駐車場へ。九州入りしてから名物一つ食べていなかったので、近くの売店で中津からあげを購入。小ぶりで食べやすくもジューシーで、あっという間になくなってしまいました。


関門橋と門司港駅

宇佐を出て、昨晩来た方向へ戻るように高速道路、苅田北九州空港ICから一般道使い、門司港を目指します。

雨もたまにぱらつく程度となり、県道25号線を走り、軽い起伏を越えて門司港駅周辺に到着です。天気は決して良くないですが、駅周辺は大変な賑わい、以前来たときは修復中だった駅舎も囲いが取れ、レトロな雰囲気を醸し出しています。近くに寄って見たかったですが、周辺道路も駐車待ちの車で混雑しており、停められそうなスペースも見当たらなかったので、走りながらの観光となりました。観光線の線路を越え、束の間の国道3号線、そして国道2号線、復路は関門トンネルで本州に渡ります。


関門国道トンネル

トンネルに向かう車はノロノロ。関門トンネルの料金所はETCが設置されていないため、渋滞していたようです。渋滞通過に10分ほど、ゲートを通過し、入ってすぐ脇にお手洗いなどのための停車スペースがあったので、少々駐まってからトンネルをくぐります。

関門トンネルは昨晩通った関門橋より先にできた本州、九州の連絡道。開通してから60年ほど経過した年期の入ったトンネルで、実際走ってみると新しいトンネルと比べ圧迫感があります。古いトンネルのため、非常用通路を兼ねた人道が自動車道の下にあり、歩行者は無料で歩いて海峡を渡ることができます。

自動車道、トンネルの途中に県境を示すタイル装飾があり、再び本州、山口県に。フェリーに乗れず、天候に恵まれずで、九州観光は僅かでしたが…。また、別の機会に訪れたいと思います。


長門峡

下関ICから中国自動車道で小郡JCTまで。高速を降り、山口市内の県庁街、国道9号線を通り、山陰を目指します。萩と津和野方面の分岐路を津和野方面へ、トンネルを抜けると両手を山に囲まれた比較的なだらかな道が続きます。

長門峡付近を走行中、右手に道の駅長門峡が見えたので一休み。長門峡は阿武川沿いの峡谷で道の駅から歩いて散策できるようです。紅葉の季節は明媚だろうと思いつつ、道の駅にあった長門峡のモニュメントを見上げて、早々に長門峡駅を目指します。


長門峡駅

長門峡駅も道の駅から徒歩圏内。列車の時間を調べたところ、間もなくSLが到着予定だったので、急いで駅に向かいました。

ホームはこじんまりとしており、SLを近くで見ることはできますが、写真に収めるには近すぎて少々困難かもしれません。駅の先に鉄橋などフォトスポットもあるようだったので、走行シーンは途中で狙ったほうがよさそうでした。

僅かな停車の後、SLは再び動き出し、黒煙を上げ、汽笛を鳴らしながら遠ざかっていきました。徐々に小さくなる少し寂しげな音。その音と共に先程までホームにいた人達も離れていき、再び静寂が訪れました。誰もいなくなった駅をあとにし、道の駅戻り、買い物をしてから再び出雲に向けて出発です。

左右に広がるのどかな風景。手の届きそうな高さの雲、それが映る田植え前の水面。この辺りから朱色の瓦屋根の家々が多くなってきました。調べたところ、島根県石見周辺で生産される石州瓦で、付近で屋根瓦に使用されているため、このような景観が生まれているそう。しばらく走り、トンネルを抜けると島根県(18都府県目) 、左手には少し離れて津和野の街並みが広がります。


道の駅ゆうひパーク三隅

下り坂が続き、益田市内。ようやく見えた日本海。国道9号線と併設された自動車専用道が途切れ途切れ繋がる山陰路。通称ゆうひラインを走り、出雲市を目指します。

途中、道の駅ゆうひパーク三隅で、休憩と写真撮影で一休み。日暮れごろになると、気温も下がり、さらに海風が体を冷やします。雨は止んでいましたが、ウィンドブレーカー代わりに雨具を着て暖を取りました。残念ながら、夕日は拝めませんでしたが、高台から線路、その背景に日本海、夕暮れ時はさぞキレイだろうと思いながら、景色を眺め、列車を待ちます。 そして、時間的ロスなく、特急車両(キハ187系)と普通車両(キハ120系)を写真に収めることができました。さすがに、タイミングは合いませんでしたが、TWILIGHT EXPRESS 瑞風の撮影ポイントでもあるようです。

普通列車を見送るころには、辺りは薄暗くなり、残り約100kmの道のり。

夜の山陰道をトコトコ走り、昨年廃線になった三江線の始発駅、江津を通り過ぎ、何とか平成のうちに、22時ごろ宿のある出雲に到着しました。

19年5月1日(水曜日)に続く…


なお、掲載している情報は旅行当日(2019年4月)の情報のため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合(特に交通機関やイベント等)は事前に確認の上、検討をお願い致します。
同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。

1日目(19年4月27日)東京~香川…年号またぎ、西日本周遊の旅(1)へ
2日目(19年4月28日)香川、徳島、高知、愛媛…年号またぎ、西日本周遊の旅(2)へ
3日目(19年4月29日)愛媛~大分…年号またぎ、西日本周遊の旅(3)へ
5日目(19年5月1日)島根~鳥取、但馬…年号またぎ、西日本周遊の旅(5)へ
6日目(19年5月2日)鳥取、但馬~愛知…年号またぎ、西日本周遊の旅(6)へ
7日目(19年5月3日)愛知~東京…年号またぎ、西日本周遊の旅(7)へ