入道崎灯台

花と緑と春風の北奥羽(1)

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23年5月。大型連休期間の天気予報とにらめっこ。後半(5月3日〜7日)も前寄りであれば東北方面は大きく崩れることはなさそう。天気次第で行くか行かぬか天秤状態だったものの、思い立ったが吉日。宿泊場所の確保の難しい3日、4日のみ宿をおさえ、東北目指したぶらり旅。行き先は大まかに北東北。冬に断念した東北にある未開の上れる灯台とそれ以外、行けそうな場所を距離と所要時間を鑑みずリストアップ。単騎みちのく、2泊3日の北奥羽(北東北)の旅。主に秋田の1日目です。

1目目(5月3日 水曜日)

5月3日、日付の変わったばかりの時刻。目的地まで700km以上かつ、首都圏での渋滞も予想されるので、2時前には蓮田SAを出て東北道を北上。丑三つ時にもかかわらず交通量は多めで、途中のパーキングエリアも時間の割には混雑しています。

しかし、最初のうちは快適な深夜ドライブだったものの、北に向かい標高が高くなるにつれて下がっていきます。防寒対策をしてきたものの気温は3℃。レインコートをウインドブレーカー代わりに羽織っても、高速移動中は寒さとの闘い。黒磯PAで使い捨てカイロを調達しようとしたものの、シーズンオフで並んでおらず、ホットの缶コーヒーをカイロ代わりに走り、福島県に到達しました。

県内で夜明けを迎え、日が出てきたので、体感温度は高原地帯を通り抜けている時より緩和されてきたような気が。朝になったので、顔を洗うため福島松川PAへ。唯一営業中だった自動販売機で目覚めのホットドリンクを入手し、少し休んで東北中央自動車道(E13)経由で秋田を目指します。

長い栗子トンネル(8972m)を抜けて山形県内。気温は一桁なものの、米沢付近で7℃になり、ずいぶん暖かく感じるようになってきました。道路が高い位置にあるので、朝もやが左右に広がって少し幻想的な景色。かみのやま温泉のランドマーク的タワーマンションを左手に朝の山形盆地を走り抜けていきます。

東北中央自動車道(E13)は山形市周辺以外を除き、無料区間があり、新庄真室川ICまでは繋がっています。終点の手前、ずっとレインコートを着て走っていたので、一旦、自動車専用道路を降りて最寄りの道の駅に。

道の駅 尾花沢、真室川

尾花沢北ICの近く、道の駅 尾花沢に8時頃に到着です。個人的にはすいかのイメージが強い尾花沢ですが、山形の代表的温泉である銀山温泉や、花笠踊り発祥の地だそうです。これまで防寒対策で着ていたレインコートを脱ぎ、施設内で朝食をと思っていたものの、売店等は開店に向けての準備中で。小休憩で先を目指すことに。再び、自動車専用道路を利用し、尾花沢北ICから新庄真室川ICまで。

ここから先、少しの間。県境前後は一般道を走ることになるので、ウォーミングアップ&朝食がてら、付近をトコトコ走ることに。ひらけた場所で遠くに見えた鳥海山には、まだ雪が多く残っています。田畑を左右に見ながら少し走ると、真室川町の駅前付近に到着です。

ちょうど、マラソン大会の開催日だったようで、町内のセブンイレブンで少々足止め。だいぶ暖かくなってきたものの、夜は冷えそう。そんな時、PAで探し求めていた使い捨てカイロが山ほど陳列されていたので、軽食と一緒に入手し、ランナーを応援しながらおむすび1個の朝ごはん。通行止めが解除されてから、国道344号線を経由し、再び国道13号線に合流。雄勝トンネルで県境を越えて秋田県に入りました。

道の駅 おがち

秋田に入ってすぐ、県南部の湯沢市。国道13号線沿いの道の駅おがちに到着です。付近は平安時代の女流歌人、小野小町の生誕地とされ、新幹線やお米の名前にも出てきます。また、日本三大うどんとして知られる稲庭うどん(湯沢市稲庭町)も有名です。

道の駅の建物はどこか「市女笠」のような形。レストランや売店、観光案内スペースがあり、10時過ぎですが混みあっています。昼食にはまだ早いものの、朝食が軽めで小腹が空いてきたので、近隣の名物「横手焼きそば」を外の屋台で購入。目玉焼きと紅ショウガではなく、福神漬け?のトッピング、太めの麺で食べ応えがありました。食事と休憩は手短に、再び北を目指します。

ちなみに駐車場にあったジオサイトマップによると、市内には温泉施設の他、日本三大霊地のひとつの川原毛地獄や小安峡大噴湯などダイナミックな景色が楽しめる名所もあるそうです。

再び国道13号線バイパス(湯沢横手道路)、横手ICで秋田自動車道(E46)、大曲ICで国道105号線と進み、角館まで。その途中、秋田だけど…、な駅案内板を道路で見つけたので、ちょっと寄り道。羽後長野駅。駅舎の裏側からでしたが、ちょうどフェンス越しに秋田行のこまち号を見送ることができました。

角館

羽後長野駅から5km程度走り、少し街から離れてはいますが、桧木内川沿いにあった運動公園の駐車場、日陰になりそうな桜の木の下にバイクを止めて、徒歩で街中まで向かうことに。朝の肌寒さと打って変わって、シャツ1枚でもOKな気温の角館。川沿いは桜並木のようですが、今年の春の訪れが駆け足のようで完全に葉桜、初夏モードです。

観光ポスターなどでもおなじみの角館は城下町として栄え、武家屋敷などの歴史的建造物が現存する歴史ある街。400年ほど前に定められた町割りをとどめており、街の一部が国選定重要伝統的建造物群保存地区。秋田の定番観光地の一つです。

駐車場より歩いて1km無い程度で武家屋敷通り付近に。通り沿いはしだれ桜が満開、だったようで、川沿い同様すでに葉桜。青々と茂る木々に囲まれ、少しは暑さは和らいだものの、休憩できそうな涼しい場所を求めて通りを進んで行きます。すると、中盤辺りに樺細工伝承館の入口看板にカフェの文字を見かけ、入ってみました。

表と違って、建物はレンガ造りのぱっと見、洋館のような和洋折衷スタイル。伝承館の売店スペースは無料エリアとなっており、誰でもお土産を購入したり、喫茶コーナーで休んだりできます。これまでほぼ屋外だったので、2Fの喫茶コーナーに直行。アイスコーヒー(銘菓のさなづら付き)を注文し、ひとときのカフェタイムです。

一休みの後、同建物内の展示コーナーへ。メインコンテンツでもある樺細工(桜皮細工)はヤマザクラの樹皮を使って作る角館町の伝統工芸品で、身近なものでは茶筒などがあります。訪ねた日は桜まつりにあわせた物販の最終日だったようで、茶筒の他、お盆や箸置き、変わったものではマウスパットや靴ベラなどが展示販売されていました。そして、展示室にはその樺細工をはじめ、歴史や暮らしを知ることができる資料(武具やその他の工芸品、発電機など)が展示されており、郷土博物館的要素を持っています。

名称開館時間所要時間入場料
角館樺細工伝承館9:00~17:00(冬季16:30)60分程度大人500円(小人300円)

建物内で50分ほど、少々ゆっくりしてしまったようで、武家屋敷通りを折り返して、いくつかあるお屋敷の一部を見学しながら、駐車場まで戻ることに。

岩橋家と小野田家を覗いてみました。思ったより質素で、広めの敷地に平屋の母屋。時代劇に出てきそうな風景にタイムスリップしたかのような感覚を得られました。

時刻は14時。角館の後は田沢湖、宝仙湖、国道341号線経由の小坂町、大館と距離や所要時間を考えず、プランを組んでいたものの、すべてを経由していると、灯台の参観受付時間内に入道埼に辿り着けそうもありません…。予定を大きく変更(省略)し、男鹿半島へ直行することに。山から海へ、国道46号線、国道341号線と進み、協和ICから秋田自動車道(E46,E7)で昭和男鹿半島ICまで。

再び一般道で、国道101号線、県道55号線。男鹿半島の先端を目指します。雪国であるせいか、路面のコンディションが意外と荒々しく、溝などに軽くハンドルを取られそうになること多々、途中、なまはげの描かれたトンネルをくぐると男鹿駅の近く、男鹿船川港。半島の道も思っていた以上に荒々しく、坂やカーブがちょこちょこと、街を抜けると自然豊かな景色が広がります。角館から約2時間、男鹿半島の入道埼に到着です。

入道埼灯台

半島の北先端、東北に3つ(塩屋埼、入道埼、尻屋埼)ある、登れる灯台の1つ、白黒のしましまが特徴的な入道埼灯台。明治31年11月に点灯し、昭和26年に改築されてから70年以上、付近の船舶の安全航行を支えています。

名称参観時間所要時間参観料
入道埼灯台9:00~16:00(土休16:30)※冬季休止30分程度300円

灯台の近くにはドライブインがあり、車で訪れても、駐車スペースの心配はなさそうです。食堂や売店が並んでいますが、まずは灯台へ。付近は公園になっており、丘のような地形で草原が広がっています。その中にそびえたつ灯台。受付を済ませて、いざ見学へ。

これまで巡ってきた灯台の中でも比較的新しいのか、内側はコンクリート打ちっぱなしの質素な感じ。勾配緩やかな螺旋階段を上って行くと灯台上部へ。

天気も良く、穏やかな日本海。遮るものがないので360度、景色が楽しめます。海岸線近くには小さな岩がポツポツと浮かんでおり、公園にはストーンヘンジのような石が規則的に並んでいます。陸方向は少し霞んで見えましたが、半島の根元付近の寒風山に能代方面の風力発電所まで。風も穏やかで少々ながいしてしまいました。

灯台を降りてがら公園をぐるり。ここは男鹿国定公園内で入道崎は北緯40度の地とのこと。灯台から見えた規則的に並んでいた石は北緯40°のモニュメントで、石は南北に一直線上に並んでいます。北緯40°はニューヨークや北京、マドリードと同じ緯度だそうです。

駐車場に戻り、軽食でもと思ったものの、店舗は16時頃がクローズの様子。夕食付きで予約していた宿泊施設のチェックイン時間もあるので、灯台の近くで記念の一枚を撮った後、来るときに降りた、昭和男鹿半島ICを目指すことに。

今度は別の道、反時計回りを走っていきます。県道59号線は海岸線近くを通る道で、戸賀湾を右手に進むと、自然に溶け込むように男鹿水族館GAOがあり、少し行ったところに展望公園。この先にも見どころが点在しているようです。

おが潮風街道とゴジラ岩

展望公園を出て、県道59号線(おが潮風街道)を引き続き進みます。男鹿半島は「男鹿半島・大潟ジオパーク」として認定されており、火山活動によって生み出された地形を体感することができます。先ほどまでいた、入道崎や灯台から見えた寒風山もその一部。県道は海岸線近くを通り景色は抜群。アップダウンを繰り返し、岸壁を削り作られたような場所もありますが、男鹿半島ドライブには最適なルートです。

しばらく道なりに走ると半島の南先端付近でゴジラ岩の案内があったので、立ち寄ってみることに。岩の近くまで、舗装はされていませんが、道のようになっており、途中、案内看板や電柱が立っています。

どうやら、付近は潮瀬崎と呼ばれ、侵食された岩がゴロゴロしている地帯。その岩の中にゴジラやガメラが潜んでいるようです。

道の先、岩を渡るように歩いていくと、いましたゴジラ。確かに、そのように見えます。そして、角度が重要なようで、人が集まっているあたりで写真に収めました。時期によりますが日没時に太陽が口の位置に重なり、火を吹いているように見えるそうです。

その潮瀬崎で10分ほど滞在し、いよいよ、チェックインまでの時間がなくなってまいりました。ここからは走りながらの観光になりそうです。宿泊施設まで、60km強。これまで走ってきた距離に比べれば、目と鼻の先!?

岩場の浅瀬が広がり、秋田のウユニ塩湖と称され、映えスポットとして知られている鵜ノ崎海岸。今日はウユニっぽくなってなさそうですが、特徴的な鬼の洗濯板(他、宮崎の青島が有名)と呼ばれる、波状岩が姿を表しています。それを、右手に観ながら、引き続き、県道59号線を進みます。

電車(EV-E801系)の充電設備を備えた男鹿駅に立ちよる予定でしたが、通過。行きに見つけた、なまはげっぽいところに寄り道したかったものの通過。昭和男鹿半島ICから秋田中央ICまで。

と、そんなときに限って、ETCエラー。出発直後から、アクセサリー系の電源の調子がいつもと違うと思っていたものの、入口のICで少々時間を要してしまいました…。通行券を発行してもらい、秋田自動車道(E7)で、海沿いの道から山道へ。

インターチェンジをおりてから、県道62号線、308号線と進み、街中を通り抜けると、家も少なくなり少々寂しい風景に。どうやら、岩見ダムの手前辺りに宿泊施設があるようです。道端に建てられた看板に従って、ダムへ向かう道と分かれて上って行くとありました。秋田県健康増進交流センター「ユフォーレ」。長旅の疲れを癒す温泉付き!

何とか、チェックイン時間の5分前に到着することができました。夕食は19時ラスト。ゆっくりする前にサッと準備し食堂へ。単騎旅にはめずらしいくらいの豪勢な夕食。長かった1日目は終了。2日目は青森へ向かいます。

なお、掲載している情報は旅行当日(2023年5月)のもののため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合(特に交通機関やイベント等)は事前に確認の上、検討をお願い致します。また、感染症の感染状況等により、行動の制限や対策が求められる場合はその指示に従い行動をお願いいたします。その上で、同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。

2日目(23年5月4日)秋田〜津軽半島~三沢…花と緑と春風の北奥羽(2)
3日目(23年5月5日)三沢~下北半島~気仙沼…花と緑と春風の北奥羽(3)

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