岩木山(津軽富士)

花と緑と春風の北奥羽(2)

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23年5月。大型連休期間の天気予報とにらめっこ。後半(5月3日〜7日)も前寄りであれば東北方面は大きく崩れることはなさそう。天気次第で行くか行かぬか天秤状態だったものの、思い立ったが吉日。宿泊場所の確保の難しい3日、4日のみ宿をおさえ、東北目指したぶらり旅。行き先は大まかに北東北。冬に断念した東北にある未開の上れる灯台とそれ以外、行けそうな場所を距離と所要時間を鑑みずリストアップ。単騎みちのく、2泊3日の北奥羽(北東北)の旅。主に青森の2日目は宿泊地の三沢まで進みます。

2目目(5月4日 木曜日)

5月4日、健康的な朝食でスタート。一泊お世話になった「ユフォーレ」を出発し、前日予定していていて行けなかった場所を可能な範囲で巡りながら青森を目指します。

まずはさっそく前日の行き残し、八郎潟の菜の花ロードを目指し、前日とは別の道、県道28号線(秋田岩見船岡線)経由で秋田中央ICまで。途中、気になる名前の神社を見かけたので、さっそく本日最初の寄り道です。

その名も勝手神社。大和国吉野の勝手神社が総本社。その歴史は鎌倉時代に遡り、当地には1666年からあるそうです。勝利成功の神格を有するとして武家に信仰されていたといい、また、子守の神として心身健康の御利益があるそうです。

秋田中央ICから五城目八郎潟ICまでの短い区間ですが、高速道路でショートカット。八郎潟駅の近くを通り、大潟へ向かいます。

菜の花ロードと大潟富士

干拓事業で生まれた広大な平野全体が村で、田んぼが広がる大潟村。八郎潟駅前付近から延びる県道298号線で大潟橋を渡り、大潟村へ。

Instagram - “Nanohana road“ 「菜の花ロード」

県道298号線は大潟をおおよそ東西に通る道。左右に木々や季節の花々が植えられ、春の時期は桜、菜の花ロードとして利用者や観光客を楽しませてくれます。

干拓地の真ん中付近には大潟富士がそびえ立っています。日本一低いで標高3.776m(富士山の1000分の1)の人工の山で、山頂が海抜0mとのこと。大潟村の干拓地のため海抜0m以下、その中ではランドマーク的に存在です。周りの木々のほうが背が高いのはご愛嬌。

ちょうどカラスが山頂を目指して登山中、その後を追って、登ってみると、意外と眺めは良く、村内が一望できます。山の近くには干拓地の説明看板があり、生いたちが記されていますが、さらに詳しく知りたい場合は、村の中心地付近にある大潟村干拓博物館がおすすめです。

秋田といえば、ババヘラアイス。大潟富士のふもとで売っていたので、今回も購入しました。まるでバラの花のようです。アイスを食べ終え、来た道を途中まで戻り北上、県道54号線で新生大橋を渡り、国道7号線に合流しました。

しばらくの間、国道7号線を進みます。青森を目指すには、日本海経由の国道101号線か大館経由の国道7号線があります。日本海側の景色も見てみたかったですが、前日に行きそびれた、大館に軍配が。能代南ICより秋田自動車道(二ツ井白神IC〜蟹沢IC間は未開通)で大館市内を目指します。

ハチ公生誕の地(大館)

まずは大館市街地、米代川を越える手前の二井田真中ICで高速を降り、近くの大子内三ツ梨地区にあるハチ公生誕の地へ立ち寄ります。場所を示す、矢印看板はあるものの、少々分かりにくいところにありました。

生家よりハチ公型のお手洗いが目立っていますが、向かいにある、民家の近くにハチ公像と石碑が設置されていました。秋田のハチ公像は渋谷のハチ公像より優しい感じです。

秋田犬の里(大館)

ハチ公生誕の地から、大館駅近くまでは県道102号線、国道7号線等で20分程度。秋田犬の里の駐車場に到着です。秋田犬の里は大館駅のすぐ近く。秋田犬発祥の地にふさわしい観光交流施設です。敷地内に見覚えのあるフォルムの胴の短い車両が。

元々、渋谷駅前に設置されていた車両(通称、青ガエル)を発見!

この青ガエルこと初代5000系電車、2020年に渋谷駅前から移設され、車内に入ることもできます。また、大館は小坂鉄道(廃線)の終着駅であり、当時のレールが残されています。

続けて、建物へ。秋田犬の里の外観はハチ公が駅前で飼い主を待っていた時代、大正時代の渋谷駅を模しているそうです。館内は秋田犬ミュージアム、秋田犬展示室、お土産コーナーで構成されており、入館料は無料、愛犬がいる場合、建物内に愛犬連れで入場できるようです(展示室は除く)。

名称開館時間休館日所要時間入場料
秋田犬の里9:00~17:0012/31,1/130分程度入場無料
名称開館時間休室日所要時間入場料
秋田犬展示室9:30~16:45月曜(祝日時は翌平日)入場無料

ミュージアムは広々としており、パネルやぬいぐるみ展示がメインで、いたるところに秋田犬に関するものがあり、秋田犬タワーや大館の隠れた名産、枝豆から顔をのぞかせるジャンボぬいぐるみ(記念撮影におすすめ)が出迎えてくれます。ガラス越しですが、展示室を見ることもできます。

今日の担当は猫と仲良しのオス犬「銀」さんだそうです。展示コーナーの後は、お土産コーナー。秋田犬に関するものから、現地の名産まで、一通りそろっています。売り場には、秋田犬のぬいぐるみが当たる千円くじがあり、展示室近くに止めてあったバイクのように荷台に乗せて走ろうかと、一瞬思ってしまいました。

建物を出て、少し周辺を散策。大館駅は改装中でプレハブ駅舎の奥に立派な跨線橋。今秋には新駅舎になるそうです。そして、駅周辺の商店街の雰囲気は昭和にタイムスリップした感じ。街の映画館の佇まいが素敵でした。

大館を出発し、弘前へ。大館北ICより秋田自動車道(E7)で小坂JCTを経由し、東北自動車道(E4)で大鰐弘前ICまで。秋田自動車道の区間は無料で国道7号ルートより大回りするものの時短のようです。

坂梨トンネルを通り、バイク自走で、初の青森県入り。
前回、北奥羽を訪れた際のやり残しが一つクリアできました!

大鰐弘前ICより、国道7号線、県道260号線と経由し、弘前市中心部を抜けていきます。

岩木山に向かう途中、桜の名所、弘前公園に寄り道。こちらのも完全に葉桜で、走りながら、弘前市内観光。県道3号線で岩木山を目指します。

岩木山神社

市街地を抜けると、りんご畑が広がる景色へ。ちょうど花の時期で、可憐なりんごの花を眺めながら、岩木山の麓まで。大館を出発してから、1時間半程度で岩木山神社に到着です。

津軽富士と称されることのある岩木山は津軽平野のいたるところから望むことができ、津軽の人々から「お岩木様」と尊称され信仰を集める山。その山にあるのが岩木山神社で、津軽一之宮。奥社が山頂にあり、山麓に下居宮(おりいのみや)があります。

御祭神として顕國魂神(うつしくにたまのかみ)をはじめとした神々をお祀りし、江戸時代の津軽藩主によって大造営がなされ、その後も崇敬者により整えられ現在の姿となったそうです。

拝殿まで延びる道の両脇には木々が茂り、所々草や苔に覆われた参道は自然と調和し、建造物の朱色もどことなく1つ2つ、色調を落とし、馴染んで見えます。参拝を済ませ、復路で変わったものを見つけました。

楼門の石造りの柵に逆立ちした狛犬(最初うさぎかと思いましたが、調べたら狛犬でした)。他の神社同様、対になっていたようでしたが、珍しい逆立ちの方に目がいってしまいました。

岩木山神社を後にし、山麓を回り込むように北上。丘陵地に広がるリンゴ畑を望む道を進んで行きます。岩木山を背に、快走中。なかなか着かない鶴の舞橋。県道12号線を?

ナビゲーションの設定ミスで、1つ先のポイントを示していました…。

そこそこ通り過ぎてしまいましたが、せっかく来たので折り返し、陸奥森田駅の脇を通ったときに、ちょうど列車がやってきたので一枚。列車本数も限られているので怪我の功名とでも言いますでしょうか。いつか五能線に乗って、青森の鉄道旅もしてみたいものです。

リゾートしらかみ橅を見送り、駅から6kmほどの場所にある、富士見湖(廻堰大溜池)へ急ぎます。

鶴の舞橋(富士見湖パーク)

ナビゲーションに従い、16時前に湖のほとりにある、鶴の舞橋近くの駐車場に到着。自転車との共用スペースがあり、バイクも駐輪スペースに停めるように案内されました。

お目当ての鶴の舞橋は駐車場のある富士見湖パークの中にあります。歩行者専用で長さが300mある、木造では日本一の橋(看板の情報)。自然の溜池だったものを江戸時代から用水確保のため、現代になって、農業用の溜池として整備。その人造湖に平成になって架けられたものです。

ちょうど八重桜が満開で、桜越しの鶴の舞橋。野鳥や淡水魚の宝庫のようで、写真にも水鳥たちが映りこんでいます。せっかくなので、徒歩で対岸まで。空気がやや霞んでおり、八甲田連峰の輪郭は分からないものの、岩木山はきれいに見ることができました。

徒歩での橋の往復で20分程度、売店の営業も17時までのようで、足早に巡って富士見湖パークを出発。つがる柏IC周辺のガソリンスタンドで燃料を補給し、次の目的地、津軽半島の最北端、津軽海峡まで。

距離の感覚が鈍っているのか、朝の時点で察しは付いていたものの、自ら立てた予定が最初から無謀なようで、さすがに一日で津軽半島と下北半島の明るいうちの両制覇は困難。津軽海峡の後は、こんなこともあろうかと、微妙な位置に予約したお宿のある三沢までを残りの旅程として進んで行きます。

十三湖と眺瞰台

国道339号線で津軽半島の北端まで。列車は見ることはできませんでしたが、時折見える津軽鉄道の線路。中泊の街中を抜け、徐々に地形はワイルドに。日が暮れる前に津軽海峡に着くことができれば良いですが…。

途中、十三湖の湖畔と道の駅 十三湖高原に立ち寄りました。十三湖はしじみで有名な大きな汽水湖で、西津軽郡に十二湖があるようなので、一戸や八戸のような地名のように、南からカウントアップしているのかと思っていたら、そうではなく、そして湖が13あるわけでもなく、流れ込む河川の数だそうです。

最初に立ち止まった湖畔は国道339号線が十三湖にもっとも近くに接する場所。そこには駐車場があり、写真の看板が立てられており、湖や対岸の風力発電の風車を眺めることができます。そして、さらに進んだ先の高台にある道の駅では営業時間ギリギリで名産のしじみ関連商品(シジミドリンクとチルドしじみ汁)を入手できました。売店では生のしじみも販売されており、なかなか輸送が困難ですが、余裕がある方はぜひ。

それにしても不思議なことに、津軽半島は市町の飛び地がポツポツある模様。十三湖五所川原市と中泊町を行ったり来たりで平成の大合併の名残とかでしょうか?

日暮れと共にか、地形的になのか、風が強さを増していきます。国道339号線はしばらく海岸線を進んで行き、海から離れるとまるで峠道。風を切るというより風にハンドルを切られている感じ。登坂の途中、眺めのよさそうな場所があったので、またまた立ち寄り。眺瞰台と名付けられた展望場所のようです。

眺めは抜群ですが、遮るものがないので、身体が風に持っていかれそうに。日没まで1時間少々でしょうか、海に映る夕日の道がとてもきれいでした。

竜飛崎

まもなく日没。国道339号線の名スポットを右手に、突き当りの灯台手前の駐車場へ。やってきました竜飛崎。まずは対岸の北海道を望み観ます。今回は青森止まりになりそうですが、いつかは上陸したいものです。眺瞰台同様、風が強く、日も落ち肌寒いものの、対岸の北海道南連峰が確認できます。そして、この直下付近を青函トンネルが通っており、その工事の際に設置された渡海水準点が地上に設置されていました。石造りの部分は随分と風化しているようですが、金属部分ははっきりとそれを読み取れます。

そして、ここ竜飛崎にも灯台(龍飛埼灯台)があります。残念ながらのぼれない灯台(中には入ることができない)なので外から見学。比較的小さな感じで、まだ点灯はしていませんでしたが、津軽海峡の海の安全を見守るように佇んでいました。

灯台の対面の山には「青函トンネル本州方基地龍飛」の看板。近くには記念館があり、営業時間を過ぎており見学はできませんでしたが、トンネル資料や海底駅へのケーブルカー乗り場があるそうです。続けて、周辺を散策。当地が過酷な環境なのか、少々色あせた案内看板。同じように、日が沈み辺りの景色の彩りもおさえられていきます。5月は穏やかな津軽海峡ですが、少し降りたところにある津軽海峡冬景色歌謡碑が、冬の海峡を表すかのように荒波にもまれていました。

そして、久々の「地図を眺めていると、どうしても自分の目で確かめてみたくなってしまう場所が存在するのです」的な場所。国道339号線の名スポット、階段国道にやってきました!

お役人のミスで国道に組み込まれてしまったとか、道路を敷設するために暫定的に国道に組み込んだなど諸説あるようですが、国内唯一の階段国道として知られています。階段のため区間は歩行者向けとなっており、手すりが設置されていますが、段数もあり少々傾斜も急であります。しかし、階段の往復は…。少しだけ足を踏み入れて、駐車場に戻り、来た道を少し戻ったところにある、国道を繋ぐ道を経由し階段下部の漁港側に移動しました。上下ともにおにぎり型の国道番号と階段国道の文字がそれを強調していました。

漁港近くには太宰治文学碑があり、石碑には小説「津軽」の一節が刻まれています。また、道路を挟んだ反対側には太宰が宿泊した奥谷旅館(現龍飛岬観光案内所)が現存しています。

日も暮れ、海岸線を沿うように作られた国道339号線を走り、三厩駅へ。

年季の入ったトンネルや土砂が崩れないよう工事をしているようで、所々狭いところがあります。そして三厩で国道339号線も終点。10km程度で駅前に到着しました。

三厩駅と奥津軽いまべつ駅

暗くなると営業している場所やお店が限られてしまうので、時間の許す限り、休み休み寄り道をということで、まずは三厩駅。一日5本設定されているようですが、22年8月の大雨災害の影響で三厩駅~蟹田駅間が不通となっており、列車がやってくることはないです。代わりにバスなどによる振替輸送となっていたため、代行バス等の待合室として機能しており、駅舎には明かりがともっていました。

午後7時少し前。ホームにも、駅にも、誰もいません。

駅前の看板(右側のマップは既視感が…)を見ると青森市内へは昼間ならば海沿いのほうが景色がよさそうですが、山ルートのほうがショートカットのようで、三厩駅より国道280号線、今別町に入り、県道14号線と進み、青森方面を目指します。途中、本州最北端の新幹線駅、奥津軽いまべつ駅に立ち寄ったものの、お店の開いている気配、人の気配なし…。暗闇に明るくそびえる、本州にあるJR北海道の駅名看板を眺めてすぐに出発。

夜の峠道。すれ違う車はほとんどなく、小国峠でまたまた外ヶ浜町(今別町を挟んだ反対側の地区)へ。太平で県道12号線、蟹田で再び今別で別れた国道280号線(バイパス)に進路を取り、夜の陸奥湾沿岸のドライブ。新青森にて久々の国道7号線。ここまでくると街は賑やかに、明るさが増して交通量も増えてきました。青森駅近くを過ぎた県庁前付近で国道7号線から4号線にバトンタッチ。市内で給油後、みちのく有料道路(E4A、県道257号線)、県道242号線、東北縦貫自動車道(E4A、国道45号線)ノンストップで三沢まで。

三沢市内

六戸三沢ICで降り、県道22号線。三沢市街を目指し、突き当りにあった三沢駅。見慣れない青白い駅名看板が光っていると思ったら、新幹線開業で第三セクターになった青い森鉄道の駅なので青かと。

遅くなってしまいましたが、駅から程なくして本日の「三沢シティホテル」に到着。10時をまわっていましたが、車両の駐車場所など、親切に対応していただき、助かりました。

初日とのギャップが激しいですが、事前に街中で調達したコンビニのお弁当を夕食に。これまた長かった2日目も終了。3日目は尻屋崎灯台メインで下北半島へ向かいます。

なお、掲載している情報は旅行当日(2023年5月)のもののため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合(特に交通機関やイベント等)は事前に確認の上、検討をお願い致します。また、感染症の感染状況等により、行動の制限や対策が求められる場合はその指示に従い行動をお願いいたします。その上で、同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。

1日目(23年5月3日)東京〜角館~男鹿半島…花と緑と春風の北奥羽(1)
3日目(23年5月5日)三沢~下北半島~気仙沼…花と緑と春風の北奥羽(3)

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