天空の大地(四国カルスト)

潮風の四国、北播磨の旅(4)

19年夏。潮風の四国、北播磨の旅。同年5月にも四国を訪ねましたが、逃してきた地域を巡るように再度、西日本へのぶらり旅。引き続き、台風とにらめっこしながらの旅は4日目。高知県四万十市から愛媛、香川を経由し、兵庫県小野市まで、四国内陸を抜け、瀬戸大橋を渡り、兵庫まで進んで行きます。


4日目(8月13日 火曜日)

前日のそこそこの移動と連日の暑さで少し疲労ぎみ。それを吹き飛ばしてくれるような景色に出会うため、海岸沿いを離れ4日目は一転、山に向けて出発です。

朝の中村駅。そして、宿の近くにあった、一條神社で鳥居ごしに旅の安全を祈願してから街を抜け出し、国道441号線を進んで行きます。2006年に初めて四国を訪れた際はレンタカーでこの道を暗闇の中を走った記憶が。国道439号線経由でも北上できるのですが、道が少々ワイルドなので、昼間でもちょっと…。
よって、今回はお天道様のもと、国道441号線を辿っていきます。四万十川に沿うように延びる道で、四万十川と言ったら清流&沈下橋。一旦遠ざかった四万十川に近づき、道沿いすぐの距離にあった沈下橋に寄り道です。


高瀬橋(高瀬沈下橋)

橋の手前は開けており、関西ナンバーの車がちらほら。徒歩で下って行くと、沈下橋が見えてきました。欄干のないグレーの橋は遮るものがなく、今は穏やかな川が見えます。沈下橋はとてもすっきりとしたフォルム。増水した際、水没しても流れや、流されてきたもの(流木など)が当たったり引っかかったりしにくくなるようになっています。あまり身を乗り出してしまうと落ちてしまいそうで、端を歩くのも、車で通るのも少しスリリングですが、地元の車には重要な生活道路になっています。

この高瀬橋のほか、同じような沈下橋が架かっているのが四万十川や付近の支流の見どころでもあります。道の分岐点の江川崎まで、幹線国道ですが点在する集落や川沿いの狭小カーブなどでところどころすれ違い出来ない狭隘な道を注意しながら進んで行きます。


道の駅よって西土佐

幾らか走り、国道441号線と381号線の分岐点。四万十川と広見川の合流地点。ひらけた場所に道の駅よって西土佐があります。朝食がまだだったので、売店で地場の物産と共に購入。山登りの前に腹ごしらえです。

朝食の後は、気温が上がる前に涼しい高地へ!四万十川とはここでお別れし、広見川と予土線と並んで延びる国道381号線(国道441号との重用区間)を軽快に走り抜けていきます。途中、愛媛県に入ります。

進んだ先、松丸駅周辺は栄えており、道の駅や小さな水族館、駅には温泉など、見どころはたくさん。でしたが、今回は惜しみつつ(惜しんでばかりですが…)通過いたしました。宇和島方面の国道381号より針路を北東へ、国道320号線で梼原を目指します。そして、鬼北町、国道の分岐で197号線、続けて北東へ。
高研山トンネルを抜けて再び高知県に入り、国道440号線、雲の上の町と称される梼原町に。町内を抜けていきます。坂本龍馬脱藩の道など歴史、文化的なものから、雲の上の図書館や雲の上のギャラリーなど隈研吾氏設計の建造物まで、自然以外にも見どころがあったのですが、街中だけ観光渋滞しており、駐車して街中を見て回るとは簡単にいかなそうだったので、松丸町に続けて走りながらの観光に。中心部を抜けると再びこれまで見慣れてきた景色に。今度は梼原川を辿っていきます。間もなくして、お店みたいな橋の名前の看板とバス停が目に入ったので、少々停車。


中古屋沈下橋

朝の高瀬橋よりは小ぶりな中古屋沈下橋。リサイクルショップのような名前…。奥に立派な橋もありますが、昔はこちらの橋がメインだったのでしょう。看板を読んでみると「中古屋(なかごや)」だそうで、1959年に対岸集落への道として設けられ、現在もバス停への短絡路として利用されているそうです。

澄んだ川の水、周りに漂うひんやりとした空気、初めて訪れたのに昔どこかで見たことのあるような景色。人影もなく、景色をわずかながら独り占め。ほんの数分でしたが、ひとときの休息ののち、久万高原方面、四国カルストへ!


四国カルスト

以前当地を訪れたときは愛媛県側から。今回は高知県側より、国道440号線、地芳道路経由にて四国カルストを目指します。2010年開通の地芳トンネルを抜ければ、峠道の時代より天候や路面状況の影響を受けず、山を越えられるので交通量は少なめですが便利です。ただ、今回は四国カルストが目的地で、トンネルを抜けると、景色が拝めません。なので、旧国道440号線、トンネル開通前よりある峠道を進み、四国カルスト直下に作られたトンネルの上を走ります。

地芳峠、一度は訪れているはずですが、記憶が…曖昧。右折し県道383号線(高知、愛媛)を進み、何となく思い出してきました。そして、道を上っていくと開けた景色が目に飛び込んできました。

ここは姫鶴平。カルスト台地といえば秋吉台が有名ですが、四国カルストも負けてはおらず、県道383号線付近を県境として、カルスト台地と両県の山々を望むことができる高原です。適度に風も吹いており、空高くそびえる風車、そして、カルスト地形の特徴である、白くてゴツゴツとした石灰岩がところどころ露出しており、付近は牧場となっており、石に紛れるように牛たちが点在しています。

台風が近づいているため、雲も多く、日差しは弱め。標高が1400mほどの場所にあるため、涼しく過ごしやすいです。辺りには牧場のほか、キャンプ場やコテージなどはありますが、それ以外は草原が広がるだけなので、天気のいい日は眺めも良く、夜は星空が楽しめるそうです。

山の稜線に沿って延びる県道を走りながらの景色も格別で、天気の良い晴れた日は天空を走っているような錯覚を覚えられそうな。草をついばむ牛たちものんびりとした様子。そんな、ゆっくりとした時間が流れていきました。

四国カルスト、地芳峠と姫鶴平(県道383号線)【cooli.space】

天気も少し気になり、日が暮れる前に、瀬戸内海を渡りたい。そんなことで、涼しい中でのひとときの休息を切り上げ、山を下って進んで行きます。県道383号線から県道48号線を経由し、国道439号線に。ところどころ広くなったり狭くなったりを繰り返し、ゆっくりと東に進んで行きます。

今はすれ違い困難な道も徐々に改良や新設で良くなっていくようです。今まで遠かった場所が、道がよくなるにつれ近くなっていく。道は様々な意味で諸刃の剣のようで、自然豊かな場所を走り抜けて寂しくも感じました。


土居川(仁淀川の支流)

上仁淀橋を渡り、国道33号線と合流。前日河口付近を渡ってきた、仁淀川の上流付近。川沿い走り、町の入り口を左折し、土居川沿いを進むと、川沿いに駐車スペースがあったため、近年名が知れるようになった青を見に一時停車。

気温は先ほどまでいた、姫鶴平と比べて、普通に暑い…。川遊びにはベストコンディションですが、近くまで降りるには今一つ移動が必要だったので、橋の上から澄んだ青色を観賞。川沿いのキャンプ場はとても賑わっていました。それと反対側をのぞき込んでみると澄んだ川の流れと見える川底。そして、エメラルドグリーンのグラデーション。水に触れられなくとも、涼しさが伝わってきました。

引き続き国道439号線、国道194号線との重用区間。上八川川沿いにあった道の駅633美の里に。小柄な施設なため、駐車場や売店も混雑しており、お盆休みの期間中でお食事処も食材切れでクローズ。売店でパンを辛うじてゲットして、軽い昼食に。ひと休みののち、大豊ICを目指して、再び東へ。19年5月に一度通った道を逆に進んで行きます。

トコトコと走ってきて、大豊ICより、高知自動車道(E32)で北へ。川之江東JCT、川之江JCTで高松自動車道(E11)に入り、香川県へ。今回も四国四県大まかですが一回り、他にも立ち寄りたい場所がたくさんありましたが、台風も迫っていることですし…。日が暮れると観光地も閉まってしまう場所が多いので、明るいうち、四国を離れる前に、少しだけ時間が取れそうだったので、善通寺ICで降りて善通寺へ!


善通寺

善通寺ICよりバイパス、善通寺駅横を通り抜け、駅周辺の市街地、境内とは反対側にある、お寺の駐車場へ到着です。二輪車は無料で、駐車場入り口わきのスペースに案内していただけました。参拝のため、まずは境内を抜けて東院の南大門から巡ることにします。

所在地である市の名前になっているほど善通寺。弘法大師三大霊跡のひとつで、真言宗善通寺派の総本山。また四国八十八ヶ所霊場の七十五番札所。前日の第二十四札所(最御崎寺)以降、久々の札所参りです。
広々とした東院の境内。南大門から、本堂(金堂)、五重塔や鐘堂と巡っていきます。夕方が近いといっても、日差しはそこそこあるので日陰や建物の影はオアシスでした。

東院に続けて、駐車場に戻る方向、仁王門を通り西院へ。西院は誕生院と言われ、お大師(弘法大師)の生まれた佐伯家の邸宅があった場所に建てられた寺院です。御影堂(大師堂)や宝物館などがあり、御影堂の地下には戒壇めぐりという、真っ暗な通路を巡る、精神修養の場がありました。

参拝後、駐車場へ。最寄りの売店で五重塔の焼印の入ったお煎餅があったので参拝記念に。準備を整え出発です。再び善通寺ICより瀬戸大橋に向かって出発です。

整った形の飯野山を5月に通りかかったときは別角度で望みつつ、高松自動車道(E11)から、瀬戸中央自動車道(E30)にハンドルを切り、坂出市を北上し、瀬戸大橋を渡っていきます。


瀬戸大橋

今回は青空の下、瀬戸大橋を進んで行きます。前回は岡山県側から香川へ入りましたが、その時は夜でライトアップはされていたものの、瀬戸内海の景色を走りながら眺めることはできませんでした。多少の風はありますが、快適に走って行けそうです。
瀬戸大橋は現在架橋3ルートのうちで最初の本四連絡橋。そして、世界一長い鉄道との併用橋です。自動車は上部、鉄道は下部を走行するため、橋上では鉄道を見ることができないのが残念ですが…。瀬戸大橋は全部で6つの橋(南備讃瀬戸大橋、北備讃瀬戸大橋、与島橋、岩黒島橋、櫃石島橋、下津井瀬戸大橋)から成り、それぞれ構造の違いや特徴があるので、まるで橋の博物館を走っているかのようです。せっかくなので、橋を間近で眺められる、瀬戸内海に浮かぶ与島にある、与島PAに立ち寄ってみました。

ループ状の道を降りていき上陸です。大きめなパーキングエリアで、売店やレストランなど揃っています。二輪駐車帯に停めて立ち上がると、少々ふらっと来たので、水分補給をしつつ様子見の休憩。先ほど渡ってきた、南備讃、北備讃瀬戸大橋を眺められる公園スペースを歩きながら、瀬戸内海の風で夕涼みです。

青い空に青い海と言葉には出しませんでしたが、台風が近づいて来ているとは思えない天気。おかげさまで、青い空がバックで白い橋がとても映えて見えます。ついでに走行中は拝めなかった電車もばっちり。それにしても、吊り橋を電車が走る(将来的には新幹線にも対応できるらしい)のは国内ではここだけではないかと(…レインボーブリッジは新交通なので、微妙)。

橋のほか、パーキングエリアの建物展望スペースからは、先ほどまでいた丸亀方面、宇多津のゴールドタワー、瀬戸内海を航行する貨物船や客船、さんふらわあを見ることができました。
一泊フェリーの旅など、一度は体験してみたい憧れではありますが、連休中はまず車両込みでの予約が取れないのと、意外と時間がかかるので、挑戦できずで…。

さて、補給した水分が染み渡ったところで、再び本線に戻ります。与島PAは上下線共通の施設のため、上り下りの分岐(アクアラインの海ほたるPAみたい)があります。ぐるりと今度はループを上っていき、左手、本州方面へ!

Instagram - “What is calm?”「穏やかとは?」
夏の瀬戸内海、本州四国連絡道路、瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)【cooli.space】

早島ICで高速を降り、国道2号線を岡山方面へ。朝食以降、途中にパン、日中は水分が主だったので、日も暮れ涼しくなって忘れていた食欲が戻ってきました。


岡山市内~三木、小野

走りながら、食事処を探して、ぐるっと走って岡山市内で見つけた、はなまるうどん(本場、香川でなく、チェーン店…)で食事。急にガッツリ食べたせいか、少々胃が重いものの、今夜の宿までのエネルギーは完了。冷房の効いた店内でもう少し休みたい気持ちを抑え、辺りは暗くなり始めたので、岡山ブルーラインを経由し兵庫県方面を目指します。

君津ICから、岡山ブルーラインに。途中、道の駅一本松展望園で月明かりで照らされた瀬戸内海を一望。たしか、前も日が暮れた後だったような…。展望園の少し先から、事故渋滞なのか、まったく車が動かず…。途中の鶴海ICで降りて岡山県道182号線、39号線と一般道をトコトコ、すると暗闇で鹿の親子に遭遇。遠回りしたものの、ちょっと癒された気分です。備前片上駅横を通り、再び国道2号線に合流し、備前ICで山陽自動車道(E2)へ。台風による影響で風も多少強めで、暗く途中巡れそうなスポットもなさそうなので、本日のお宿のある小野市まで直行です。

三木小野ICで降り、小野方面へ。そして、市内を少し走って、本日のお宿にチェックイン。そこそこ暑さでバテ気味だったのを景色で忘れてきた、4日目の旅は終了です。


5日目(8月14日)は兵庫県小野市より、東を目指し、岐阜、中央道経由で信州を目指します。

19年8月14日(水曜日)に続く…


なお、掲載している情報は旅行当日(2019年8月)の情報のため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合(特に交通機関やイベント等)は事前に確認の上、検討をお願い致します。
同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。

1日目(19年8月10日)東京~徳島…潮風の四国、北播磨の旅(1)へ
2日目(19年8月11日)徳島~日和佐…潮風の四国、北播磨の旅(2)へ
3日目(19年8月12日)日和佐~四万十市中村…潮風の四国、北播磨の旅(3)へ
5日目(19年8月14日)小野市~長野、東京(6日目)…潮風の四国、北播磨の旅(5)へ

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