小安峡

春の東北、物語を辿り紡ぐ旅(3)

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25年5月上旬。今回は24年5月の行きそびれた彼の地巡りの旅、東北バージョン。何度か当サイトでも旅行記をアップしてきた東北地方ですが、訪れていない場所は多々。すでに旅行から1年が経ってしまいましたが、今春の旅のバイブルとして、2泊4日?の岩手、秋田、宮城の東北3県の旅。3日目は最終日、秋田から宮城と山間部を巡っていきます。

今回の記事の旅人(春の東北、物語を辿り紡ぐ旅)

Ectopistes_migratoriusのアバター

3日目

3日目の朝。雲は多いものの最終日は予報的に終始天気の心配はなさそう。朝食をいただき、お世話になったお宿を後にしました。朝の北上駅、列車での移動ではありませんが、沿線を秋田方面に一度向かって、別ルートで宮城を経由し、岩手南部に戻り、東京へ帰ろうと思います。北上駅前を出発、時短ルートの秋田自動車道(E46)ではなく、国道107号線を進んでいきます。

少し前まで雨が降っていたようで、路面がウェット。そんな国道を走っていると、途中、ありがたそうな駅名を目にしたので、ご利益があるかはわかりませんが立ち寄ってみました。駅名の由来は近くに(和賀)仙人峠という、昔仙人が住んでいたとされるところ?があったそうで、その近くに設置された駅ということで和賀仙人。駅舎は仙人というより、普通のおじいさんが一人で住んでそうな佇まい。無人駅で、1日に上下各8本、昼の時間が何とも寂しい⋯、地方交通線特有の通勤通学需要にほぼ特化ダイヤになっているようです。引き込み線には少し前まで雪かきをしていたと思われる、ラッセル車が止まっていました。

駅の時計は電池切れか遅れているような⋯。仙人も利用者の姿もなく、列車はしばらく来ないようなので、列車よりお先に出発進行!

湯田ダム

和賀仙人駅を出発したあと、道は急に険しくなり、傾斜とカーブが続きます。峡谷に沿うように作られており、場所によって風が吹き抜けるようで、横風注意の標識と目の前には飛ぶのに苦労する鳥の姿が。

飛んでるというより飛ばされている⋯

重心を低くし風を避けながら強風地帯を一定速で通り抜けていきます。その先、湯田温泉峡県立自然公園の看板を右に見て、少し走るとスノーシェッドの切れ目に脇道があり、その突き当りに湯田ダムがありました。

湯田ダムは1965年に完成したアーチ重力式コンクリートダムで治水、発電、灌漑を目的とした多目的ダム。北上川水系の五大ダムの1つとして和賀川に設置されています。堤高89.5mと山中にある建造物としては巨大で、年季が入っており濃い灰色の堤体は不思議と自然に溶け込んでいました。

雪解け水をたたえた碧い湖面に峡谷を流れる少し冷たい風。鳥も湖畔で一休み。私以外、観光客はおらず、静かなものです。少し体も冷えてきたので、事務所でダムカードをいただき出発です。

Instagram - 'The Blue Melting Snow' 「雪解けの碧」

引き続き国道107号線を秋田方面へ。この付近は朝のうちにまとまった雨が降っていたようで路面がかなり濡れています。また、土砂崩れの復旧工事でしょうか、所々で対面通行&仮設橋?路面に鉄板が敷かれている場所もあるので滑らないよう慎重に進んでいきます。そして、展望スポット等は無いようなので、走りながらダム湖である錦秋湖畔を観光しました。

ほっとゆだ駅

お店や民家が立ち並ぶ風景になり、標識に従って駅方面へ。あることで有名なほっとゆだ駅に到着です。駅舎や駅名より暖簾に書かれた「ゆ」の方に目が行く。そんなほっとゆだ駅、駅名から推測できるかもしれませんが、

駅舎に日帰り温泉が併設されています!

列車が来るまでの空き時間にちょいとひとっぷろ。なんて、待ちの時間を有効活用できる駅なんです。と言いつつ、バイクで訪れてしまいましたが、列車でなくても利用可能(駅構内ではなく、同じ建物に併設されているため)です。

名称営業時間休業日所要時間入浴料
ほっとゆだ8:00~20:00第2水曜日30分程度大人(高校生以上)440円
小・中学生260円

売店で入浴料を支払い脱衣所へ。タオルが品切れだったようで、持参していた一泊目の温泉タオルで何とか難を逃れ浴室へ。コンパクトにまとまった浴室の壁面には鉄道用の三灯式信号機が設置されており、温度の違う3つの浴槽があります。入浴中に撮影するわけにはいかないので、流行りのAIに情報を伝えてイメージを作ってもらいました。

…いや、実際と全く違います。

これでは駅から丸見えで、信号機も交通信号…。それはよしとして、列車の発車時刻によって信号の色が青、黄、赤と変わり、入浴中に知らせてくれるようになっています。湯船につかっている最中、本来はあり得ない、黄、赤が同時点灯する姿を見ることができました。湯あたりする前に上がって、駅を出発。国道まで戻って、再び秋田方面へ。

大松川ダム

巣郷垰を越えて秋田県に。国道107号線は黒沢川沿いを下っていきます。途中、大松川ダムと書かれた看板を見かけたので、湯田ダムに続けて、ダム見学を。交差点を左折し県道273号線を道なりに進んでいくと、右手に大きな駐車場が見えてきました。
大松川ダムは1999年に完成した重力式コンクリートダムで、直線的な提体。訪れた際は水が少し流れ落ちる程度ですが、後方にはダム湖があり、こちらも水を多く湛えています。先客は釣り人が一人だけ。話によると対岸でクマが出没したそうで、ダム周辺にも看板が立っていました。

クマとこんにちはする前に、ダム見学を済ませて、来た道を戻り、再び国道107号線へ。そして、横田市安田交差点を左折し、国道13号線。石成交差点を左折し、県道108号線。りんご畑や鳥海山を眺めながら湯沢方面を目指して進みます。りんごの花を眺めていると、ちょうど踏切が降り始めたので電車がやってくるのを待って撮影。本線を称する奥羽本線ですが単線で、2両編成のかわいらしい電車が横手方面へ走っていきました。

畑の中に伸びる県道。途中、増田の町並みと呼ばれる古い町並みの残るエリアを通過しました。かつての城下町、近代では商業の拠点だったエリアだそうで、歴史的な建造物が並んでいます。表からは分かりませんが、雪が多い地域であるゆえ、家屋の内部に土蔵が組み込まれた「内蔵(うちぐら)」という独特の建築様式の建物があり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているそうです。

四ッ谷角の交差点の先、成瀬川を越えて、湯沢市へと入り、川連町の野村交差点からは国道398号線へ。2023年5月に山形県から国道13号線で男鹿半島を目指したときに、気になっていた小安峡。龍泉洞や遠野と同様、ついでにと考えていたものの、距離や時間の都合で断念してきた行きそびれた彼の地、小安峡大噴湯まで21km!

途中、国道沿い。稲庭うどんの本場を通りました。空いていればと思ったものの、お店の前には行列ができていたので、お昼はお預け。そのまま通り過ぎると、徐々に景色が変わり、上り坂になっていきます。

小安峡

小安峡湖に架かる栗駒大橋を渡り、時間は13時前、目的地の小安峡に到着しました。峡谷の入口(秋田寄り)には無料の駐車スペースがあり、売店やお手洗い等も揃っており、小さな道の駅のようです。駐車後、当地の案内看板に従って、国道を渡った先の階段を降りて、お目当ての大噴湯を見に行きます!

軽いハイキングのような感じで、皆瀬川沿いに設置された遊歩道を下流から上流へ歩きます。所々、壇上になった岩の割れ目から白い蒸気とともにお湯が噴出しています。じかに触るとやけどしそうな温度のようなので、少し離して手をかざすと、冷えて手に水滴が、

確かに温泉です!

そんな天然のスチーム(湯けむり)と新緑を楽しみながら、30分ほどで巡り終え、復路は国道を歩いて駐車場に戻ります。その途中、河原湯橋からは小安峡を見下ろすことができるので、高所恐怖症でなければ、橋の真ん中まで歩いてのぞき込んでみることをおすすめします。

出発前に売店へ。地元の名産や名物が並んでおり、手作りいぶりがっこと「やきもち」という「おやき」みたいな食べ物があったので、昼食代わりに購入(いぶりがっこはお土産用)。あんこが中に入っており、甘くておいしかったです。お昼を一旦軽食で済ませ、引き続き国道398号線を栗原方面へ。

小さな温泉街を抜け、山中の整備された道路で山を越えていきます。そして、走りながらですが、周囲の山々を望める景色がよいルートに。標高が上がるにつれ、雪の残るエリアへと入っていきます。

植物の名前の付いた橋をいくつか渡り、現れた交差点。県道282号線、栗駒峠、国道342号線へと抜けることができる道ですが、まだ冬季通行止めのようでバリケードが設置されていました。通れれば、一関への近道!?だったのですが、引き続き国道398号線を進んでいきます。花山峠を越え、宮城県栗原市へ入ります。途中の湯浜峠には休憩スペースが設けられており(看板と仮設トイレ⋯)栗駒山を正面に望むことができるビュースポット。標高があるのでキリッと冷えてますが、眺望は抜群です。

ここまで来ると周辺に雪はなく、新緑の中をゆっくりと下っていきます。宮城県側はちょっと道が狭い感じで、一迫川に架かる赤い橋を渡り、小さな温泉街の前を通り過ぎ、徐々に街中へ。

そして、花山湖のほとり、道の駅があったので峠越えの休憩を兼ねて立ち寄ることにしました。

道の駅 路田里はなやま

宮城県栗原市にある道の駅 路田里はなやま。ちゃんとしたお昼ご飯をと思って食堂へ向かうも混雑。ここでは軽めの休憩にして、拝観時間の決まっている中尊寺に向けて早々に移動することに。

県道178号線、花山湖の北側を通り、国道457号線へとショートカット。景色に溶け込む?細倉マインパークの看板を横目に走り抜けていきます。マインパークは閉山となった細倉鉱山の坑道跡を利用した観光施設。今回は通過し、もともと東北本線の石越駅と細倉マインパーク前駅(細倉駅)を結んでいた廃線となったくりはら田園鉄道沿線を少し並走。田畑の広がる田園風景へ。

平泉方面へ向かうため、三迫川を渡った先のT字の交差点を右折し、県道182号線を通り、国道4号線へ。北上していき再び岩手県へ。

平泉バイパス南口交差点を左折して、県道300号線号線へと入り、JR平泉駅前を通り抜けて、中尊寺近くに到着しました。

中尊寺

16時前、この時間でも参道入口は渋滞しており、駐車場も混雑しています。町営第一駐車場、バイクは駐車場手前側のスペースに案内されました。拝観時間(〜17時)には間に合いそうなので、遅くなった昼食をいただくことに。

岩手といえばわんこそば。ですがそんな余裕はないので、バランス良く名物を楽しめそうなセットにして、腹ごしらえは完了。お目当ての金色堂を目指して参道の月見坂を上っていきます。意外ときちんと坂になっており、旅の終盤の気力と好奇心で動いているような状況で少々きつい道のり。先程、食べたばかりにも関わらず、

つい買ってしまいました、弁慶餅!

弁慶堂の近くで販売しているので、そのネーミングだと思いますが、味噌だれのかかったお餅で体力は気持ち回復しました。

中尊寺は850年に慈覚大師よって開山された天台宗の寺院。2011年に世界遺産登録された構成資産の一つで、金色堂が有名で見逃しがちですが、入口と金色堂の間ぐらい、右手の塀や木々に囲まれた場所にあるのが中尊寺の本堂。てっきり奥にあるのかと思ってましたが。落ち着いた雰囲気の佇まいに心も落ち着きます。大日堂や阿弥陀堂などいくつかのお堂の前を通り、拝観券を発行している讃衡蔵の前に到着。讃衡蔵、金色堂、経蔵、旧覆堂は拝観券が必要なエリアとなっており、早速、受付でチケットを入手し国宝を拝みに讃衡蔵から見学です。

名称参拝時間所要時間参拝料
中尊寺金色堂・讃衡蔵8:30~17:00(訪問時)30分程度大人1000円、ほか

拝観時間は17時まで。そして帰路もあるので、のんびりと鑑賞はできませんが、せっかくの機会なので、一通り巡っていきます。讃衡蔵はいわば宝物館で奥州藤原氏にまつわる品々や平安時代の諸仏などが保管、展示されています。そして、国宝の金色堂。写真の建物が金色堂そのものかと思っていましたが、その建物内にあるのが金色堂というのを現地で知るという…。撮影不可なので、実物はぜひご自身で!
とても神々しくも繊細な感じで、目に焼き付けようとも情報量が多くて焼き付けられない。と言ったらお分かりいただけるでしょうか。

表現が難しい⋯。

そう、しばらく眺めていたくなるものでした。

中尊寺観光を終えて、来た道を戻って駐車場に。時間的に今回の旅、最後の目的地を目指します。国道4号線を戻るように南下し金成荒崎交差点を左に、その先の県道4号線との交差点をさらに左に進み、道なり。東北自動車道と東北新幹線をくぐって進んだ少し先の交差点を右折すると到着です。

くりはら田園鉄道公園

ここは若柳駅。駅前にもかかわらず静まり返っており、待っていても列車はやって来ません。それもそのはず、2007年に廃線となった、くりはら田園鉄道の駅として使用されていた施設が保存されており、今駅周辺は公園、そしてミュージアムになっています。当時は東北本線の石越駅と、昼過ぎに通りかかった、細倉マインパーク駅を結んでいた「くりでん」の途中駅でした。

時刻は18時前、中尊寺を選択したため、ミュージアムの営業時間には間に合いませんでしたが、旧若柳駅に停車中の保存車両を外から見ることはできました。ちなみに、駅舎はミュージアム開館日の10:00~16:00に見学できるそうです。ミュージアムは次回、行きそびれた彼の地巡りの旅?の際に。

名称開館時間休館日所要時間参拝料
くりでんミュージアム10:00~17:00(最終入館16:00)火曜日、年末年始一般500円
小中学生300円

最後に鉄分を補給し、若柳駅から東京へ!

今回の旅では栗駒山周辺は通過するだけになってしまいましたが、冬季通行止めが解除された後、ツーリングの目的地として魅力的、と思いつつ、ここまで高速道路ノンストップで片道6時間⋯。それをこれから帰ると思うと少々意気消沈。ただ、旧若柳駅を出発して東北自動車道のインターまでの間で見た景色でそれも吹き飛びました。

県道4号線、若柳金成ICから東北自動車道(E4)で東京方面へ。

長者原サービスエリア

栗原市のお隣の大崎市にある長者原サービスエリア(上り)で日暮れ前の休憩&これまで調達したお土産等、荷物の積み直しのため、暫しの休憩。エリア内から近くにあるラムサール条約登録湿地である化女沼を眺めることができます。水草が生い茂り、鳥や昆虫たちの楽園、だそうですが、場所や時間、時期的なものでしょう、その姿はありませんでした。その代わり、展望広場では時代の最先端!?自動運転?の芝刈りロボットが、

お休みしていました(^_^;)

売店で購入したご当地牛乳を流し込み、少しでも明るいうちに東京までの距離を稼ぎます。帰りも行きと同様、常磐道で。富谷JCT、仙台北部道路(E6)を通り、利府JCTを仙台東部、常磐道(E6)方面へ。日も沈み、左手にライトアップされたアウトレットパークの観覧車が見えました。しかし、看板にはいわきまで153km…。東京まではまだまだです。

阿武隈川を越えて常磐自動車道(E6)。山元ICからはしばらく対面通行。暗い中の走行は気を使いますが、連休期間中で交通量も多く、流れに任せてのんびりと南進します。そして、守谷サービスエリアに着いたのが23時過ぎ。ここまでくればもう少し。最後まで気を抜かず、時短のため首都高速を利用して、日付が変わっての帰宅。

最終的に2泊5日?の旅は無事終了です。次の旅路へ…

なお、掲載している情報は旅行当日(2025年5月)のもののため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合(特に交通機関やイベント等)は事前に確認の上、検討をお願い致します。同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。

1日目(25年5月3日)岩手県県央、沿岸エリア…春の東北、物語を辿り紡ぐ旅(1)
2日目(25年5月4日)岩手県遠野市…春の東北、物語を辿り紡ぐ旅(2)

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