地図を眺めていると、どうしても自分の目で確かめてみたくなってしまう場所が存在するのです。今回は三国峠に続いて、もう一つ、山奥に存在する盲腸線ならぬ盲腸道? 県を越えて通り抜けの出来ない不思議な長野県と群馬県の県境、毛無峠へ足を運んだ際の旅のひとこまです。
県道112号線(大前須坂線)
長野県上高井郡高山村大字高井。長野県須坂市の東側に位置する毛無峠。峠への車両でのルートは長野県側からのみで、県道112号線で高山村を抜けて、山道を進んでいきます。※冬季は積雪のため通行止めになります。
毛無峠
県道112号線も県境に近づくにつれ緩やかになっていき、Y字の交差点が現れます。片方は県道466号線、万座方面。もう一方が、これまで走ってきた県道112号線。道幅は狭くなり、車でのすれ違いが困難な幅の場所があるものの、舗装はされており、山の稜線に沿うように、道が延びています。ただ、峠付近は吹き曝しで舗装も痛み、斜面から転げ落ちた石が落ちて、右手はポールが立つだけの半砂利道…。オフロード車でないので、両足でバランスを取りながら徐行で進みます。そして、目的地に到着。毛無峠の県境周辺は平らでひらけており、数台の車が止まっていました。
峠の名の通り、辺りは背の高い木々はなく、ひらけた高原のよう。場所に似合わない存在感のある県境(群馬県)の看板と通行止めの標識とチェーン。その先には荒野ではありませんが、旧小串硫黄鉱山の遺構が佇んでいます。登山道もあり、峠よりさらに高い位置から、一帯を見渡すことができるようです。到着したときは青空も見えていましたが、終始風が吹きつけており、一帯は霧(ほぼ雲)に包まれ始めました。
小串鉱山跡
鉱山や関連施設は群馬県側にあるようですが、毛無峠付近にも旧小串鉱山の遺構が点在していました。山肌に佇む人工物であるはずの索道の鉄骨はその役目を終えてからも雨や雪、そして風に耐え続け、もはや枯れ木のごとく、過去にあった姿を今も留めています。
赤茶に錆びた鉄骨は霧に包まれ、夏の日差しを遮ると、まるでそれは過去の世界を彷徨っているかのような情景でした。
終始晴れていれば、山の上からの大パノラマを望むことができるようなので、また、近くを通った際(コース的には万座→高山村でしょうか)には寄り道してハイキング程度に登ってみたいものです。山の天気は変わりやすいため、なかなか霧を予想して訪れるのは難しいですが…。
毛無峠、そこは自然の一部と化した、遺構の点在するノスタルジックな場所。静けさと靄に包まれた秘境。今あるのは引き返すだけの県境と硫黄鉱山の遺構ですが、なぜか懐かしいと思える雄大な景色をたたえる、高地に足を運んでみませんか?
なお、掲載している情報は旅行当日(2018年8月)の情報のため、ご覧いただいた時点では異なる場合がございます。ご旅行の参考とする場合は事前に道路状況等を確認の上、検討をお願い致します。
同地域への旅行を検討されている場合の参考になれば幸いです。
地図を眺めて気になったので行ってみたシリーズ…三国峠
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